よい先生に恵まれた小学校時代の経験から、自ら小学校教諭になる道へ
私が小学生だった時の先生は、一緒に喜んだり悲しんだりしてくれる、とても愛情深い先生でした。自分にとって先生の存在は大きく、憧れの大人でしたので、その頃から小学校の先生になることが自分の夢になりました。 そして、実際に小学校教諭になり8年を過ごしたある日、「高度理科教員(CST)」というものがあるということを知り受講して資格を取得しました。 これをきっかけにもっと学びたいと考え、教員のまま大学院で学べる制度を利用し、大学院に2年間通うことにしました。この2年間が自分の人生の中でも、とても密度の濃い時間となりました。 教育心理学を学べたことにより、なんとなくやっていた教育活動が、意図をもってできるようなったことは大変な驚きでした。子どもへの声掛けや、どのタイミングでどこまで言うかなど、子どもの学習過程でのファシリテートがうまくできるようになったことを実感しました。 それは、テストでの学力向上というわかりやすい形での結果を出すこともできましたし、子ども同士で対話的に学ぶ力や、自分の考えを伝える力も向上しました。 また、学習意欲が高まる様子も目に見えてわかりました。自分が目指していた教育はこれだと感じたのです。
スクール創設に向けて
目指す教育に出会えたわけですが、小学校という枠の中にいると、その教育を実践できるのは自分のクラスだけです。先生同士の研究会では、そこに参加する先生達に伝えることはできますが、影響力はそこまでの範囲となるわけです。 また、その教育方針も、子どもによっては合う子、合わない子がいるわけで、できることなら選べるようにしたいとも思いました。学校は学校でやることがたくさんありますし、それはもちろん大切なことですので、その分野は学校の先生達に任せ、自分は自分の専門性を活かせるオリジナルのスクールを始めることを決意したのです。
4Cスキルと、それを身に付けるための「STEAM教育」を再構築
いよいよこの「MOANAVI(モアナビ)」を立ち上げることとなり、4Cスキル、批判的思考力(Critical Thinking)、協働力(Collaboration)、対話力(Communication)、創造性(Creativity)を現代社会を生き抜くために必要な力を身に付けてもらいたいと考えました。 これは、個人の学習や成長だけでなく、現代の学校や職場、社会での成功に重要なものとなります。 そして、その4Cスキルを育成するために、科学、技術、工学、アート、数学を統合した「STEAM教育」をさらに科学、人間、言語、創造の4領域とそれを支える基礎として再構築しています。 学校では、1つ1つの科目をこなしているのに対し、領域横断的な学びであることが特徴で、まだここまでやっているSTEA教育のスクールは少ないと思います。ただ物を作るとか、計算ができるとかだけではなく、何もないところから考えて、新しいものを作ったり考えたりする力を子どもたちに養ってもらいたいと思っています。
子供の考えに寄り添う
MOANAVIでは、まずは子どもの考えに寄り添うことを大事にしています。例えば、子どもが何か「わからない」と言う場合、その裏には何があるのかを考えます。どこまでわからないのか?わかろうとする気持ちなれない原因があるのか?そんな、根の部分に寄り添い、読み取りながら、適切なサポートをします。 そのためには、子どもと話すことが重要で、話す内容から「何でかな?」を探り出し、それを踏まえて、体験、探究へと進むことで、総合的な学習を身に付けていくことができるわけです。 また、そんな学習の段階で興味をもってもらうために、例えば算数の計算をするだけではなく、ヒンメリという立体の模型を作ることもあります。それがアートのような美しい造形になることで、部屋に飾りたくなるなど、広がりのある学びを体験してもらいたいと考えています。
地域の皆さまへ
MOANAVIでは、基本の勉強はもちろんのこと、STEAM教育にも力を入れていますし、対話をする時間も大切にしています。また、オルタナティブスクール(フリースクール)も開校し、様々な理由で学校に行けなかったり、教室に入れなかったりするお子さんの解決策にも取り組んでいます。 実際に、学校に戻れることができたお子さんもいまして、それでも、MOANAVIは続けたいと、放課後のコースを利用して学びに来てくれています。そんな子どもたちの成長の様子を見られることが大きな喜びです。 私自身、子どもの学校のPTA会長を務めていまして、学校や区役所との連携にも力を入れるなど、公私ともに子どもの学びに一生懸命な毎日です! 子どもたちは学校も家庭も地域も三位一体で見守るものだと考えています。何かお悩みやご相談されたいことがありましたら、どうぞ気軽にご連絡ください。
※上記記事は2024年5月に取材したものです。 時間の経過による変化があることをご了承ください。