五十地 妥穂 オーナー・店長（coffee shop View（コーヒーショップ ビュー）)のインタビュー

横浜市の事業でご縁が生まれ地域の老舗コーヒー店を継ぐことに

サラリーマンをしていたのですが、定年になったら、興味がある飲食店をしたいと思っていました。ご縁とタイミングが重なって、その時期が20年くらい早まったという感じですね。この店に来る前は、コーヒーに全然詳しいわけではなく、コンビニやチェーン店のコーヒーを飲んでいました。いつか飲食店をしたいと思って過ごしている中、商店街の飲食店を辞める方と、その空き店舗を活用したい人とをマッチングするという横浜市の事業があったんです。そこで、たまたま私に紹介されたのが創業30年以上の老舗コーヒー店「ラブスター」でした。本来であればマスターとは所縁のない私が引き継がせていただいたのは光栄ですし、ラッキー以外の何者でもないですね。マスターは3代目だとおっしゃっていたので、私は4代目になります。引き継ぎの3ヶ月間は、毎日みっちり一緒に過ごさせていただき、接客、コーヒー豆の種類からコーヒーカップのことまで、コーヒーに関することは全て教えていただきました。それでやっと、「いろは・・・」の「い」だけ分かったかな。そのうようにスタートし、今まで本当に試行錯誤してやってきました。20年間、365日、コーヒーと向き合ってきて、ようやく形になってきたかなと思います。

コーヒーで大事なのは豆の鮮度のために、その日に焙煎機でロースト

コーヒー豆を焙煎するのをご覧になりますか。生豆の状態はこんな少しグレーの混じったクリーム色をしています。創業時から使われている小型直下式焙煎機でローストし、さらに燻していくと、こんがりとした色に変化します。豆の種類やその日により調整していますが、経験を積み重ねてきて最良のタイミングが分かるようになってきました。この焙煎機は感覚を使って焼くところが好きです。いい頃合いになるとパチパチっといい音が鳴るんですよ。この焙煎機は創業時から今まで60年以上、一度も壊れずに働き続けてくれています。ボンマック社のグラインダーも先代から受け継いで使っているものです。焙煎が終わり、コーヒー豆の熱を取って冷ました後は、ハンドピッキングをします。こうして自分の目で見て、形の悪い豆や、たまにコーヒー豆以外の物が入っていることもあるので、確認しながら一つひとつ丁寧に取り除いていく行程も欠かさず大事にしています。

料理上手な妻が生み出す手作り料理

何度通っていただいても飽きないよう、料理のメニューもかなりご用意しています。私の妻が料理上手で、私も料理は好きですが彼女には敵いませんね。ご覧の通り、狭いキッチンですが、とにかく手際と段取りがよくて、どんなものでも作ってくれます。カレーやスパゲッティ、丼物、ケーキ、自家製の甘味もご用意しています。手作り料理のファンで通ってくださるお客様も結構多くいらっしゃいます。

毎日欠かさずお食事とコーヒーを楽しみに通ってくれる常連のお客様

お客様はやはりこの地域にお住いの方が多いですね。私がここを継いでから、毎日欠かさず通ってくださる常連さんがいらっしゃって、いつも必ずお食事とコーヒーを3杯召し上がるんです。「ここに来ることが何よりの楽しみ！」と話してくださいます。そんなお客様に支えられながら、この地域で喫茶店を長く続けてこられたことは本当にありがたいです。

自家焙煎のコーヒーをぜひ味わっていただきたい

何より、私自身が毎日この空間で働いていて幸せだなと感じます。先日の大雪の日は、お店をお休みにしたのですがその日もなんだか落ち着かなくてね（笑）。やっぱりお店に行きたいと思いました。ここでコーヒーを焙煎してこの香りに包まれて、ずっと飽きることがありません。地域のお客様もですが、遠方からも「ここのコーヒーを飲んだたら他では飲めなくなる」と通ってくださっている方もいらっしゃっることはとてもありがたいです。うちのコーヒーは、例えコーヒーが苦手な方でもミルク・砂糖なしのストレートで飲まれて「美味しい」と喜んでいただいています。アイスコーヒーもすごく美味しいですよ。自家焙煎のコーヒーをぜひ一度ご堪能くださいね。

※上記記事は2024年2月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。