PIZZERIA Speriamo!(ピッツェリア スペリアーモ!) 本間 幸恵 シェフ・オーナー SACHIE HONMA
神奈川出身。「美味しいピザ屋を作りたい」と一念発起、夫婦でイタリアに渡り学ぶ。2000年に「PIZZERIA Speriamo!」開業。(相鉄線「西横浜駅」から徒歩5分)
神奈川出身。「美味しいピザ屋を作りたい」と一念発起、夫婦でイタリアに渡り学ぶ。2000年に「PIZZERIA Speriamo!」開業。(相鉄線「西横浜駅」から徒歩5分)
何でこの仕事を始めたんですか?と聞かれると一言でお答えするのは難しくて。人生には皆、色々なターニングポイントみたいなものがあって、そのタイミングに後押しされてオープンすることになりました。何かお店をやろうと思った時に「ピザ屋にしよう」と決めて夫婦で南イタリアのサレルノという町に行きました。そこで夫婦それそれで、私は開業に向けて雑貨などの準備、夫は料理を学び、途中離れたり合流したりしながらやってきましたね。それから今に至るまでイタリアで出会った友人ともずっと交流が続いています。
何年間も辛い修行に耐えて・・・ということではなくて、私たちはイタリアに行って楽しみながら、遊ぶように学んできたと思います。出会った方々は、師匠、というよりも「アミーゴ」という感じかな。学ぶ時間もあるけれど、それ以外の時間は楽しく飲んだり食べたりするうちに、自然と人脈がどんどん広がってきました。一人お友達ができると、その友達の家、またその友達・・・というようにご縁が繋がり続けました。仲良くなった職人さんから、お店で教わることもあれば、そのお友達の家庭のキッチンに一緒に立って、パンチェッタの作り方や色々な料理を教えてもらったり、という感じでしたね。「これ、すごく美味しい!どうやって作るの?」と言うと、お店や友達を紹介してもらったりしました。取材みたいな感じかもしれませんね。興味のあることや人のところに次々飛び込んで行って、お話を聞かせてもらって教えてもらう、というような。イタリア人は、お友達とか家族をとても大事にするので、懐に入るとあっという間に家族のような存在になるんですよね。私たちが現地に行った当初は、まだ日本人も珍しかった頃でした。オープンからの10年間は毎年イタリアに行っていました。
夫婦二人三脚で、気がつくと今年で23年目になりました。オープン当初から決めて守ってきたことですが、お客様にお料理で嘘をつかない、ということです。例えば、便利な調味料があってもそれに頼らず、無添加でベースから丁寧に作っています。それはお客様に対しての誠意だと思っています。おばあちゃんやお母さんが子供や孫にお料理を作るみたいに、「美味しいもの、体にいいものを食べて欲しい」という気持ちでお料理と向き合ってきました。お客様が気がつかないような細部でも、私自身が自分に嘘をつきたくないと思っています。
開業して23年目となると、数え切れないほどお客様とのエピソードが日常的にあります。お一人おひとり思い出そうとするだけで、もう泣けてきちゃうくらい(笑)。先日も、普段は遠くにお住まいで年に1回来られるというお客様が、うるうるして感激されながら、お料理を噛みしめるように食べてくださったんです。私たちはその方の人生は分からないけれど、何か光景を思い出してくださっていたみたいですね。音楽は形として残っていくけれど、お料理は形としてずっと残せるものではありません。でも、音楽に似た力があるのかもしれませんね。お料理を食べて、その方の記憶というのか、人生の背景部分にふいに触れさせていただくような・・・。この前は、全国各地、世界に飛び回っておられるお客様が、ご自身の特別な記念日に「『ピッツェリア スペリアーモ!』で食べたいと思って」と遠方から来てくださいました。たくさんのお客様が日々いらっしゃるので全てを覚えることはできないけれど、皆さんがお店をそうして心においてくださっているという事実に励まされていますし、私たちにとってはとっても嬉しい事です。これからも細く長く続けていけたらなと思います。
商店街から少し離れた場所にあるので、地域の方と密接に何かをしているわけではないのですが、私たちもこの場所が大好きで、いい街づくりができたらなという想いがあります。最近新しいマンションもどんどん増えて、この街に越して来られたというお客様もよく来られるので、昔からここに住む者として、この街の話などしていけたらなと思います。
※上記記事は2023年10月に取材したものです。
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